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2007年2月 1日 (木)

アメリカ人との交流を深めたくれた、ヒーローの仮面

ハリウッド業界に入った時、アメリカ人とどうコミュニケーションを取るかも大きなテーマだった。当時の俺は、英語もつたなくどうやったら深く入り込めるかで、頭を悩ませていた。ある日、こんな出来事がおこった。 それは、大野剣友会時代までにさかのぼる。1970年代に入会した大野剣友会は、礼に始まり、礼に終わるという古い体質が生きた武芸集団だった。そこで学んだことで、共感できることはたくさんある。中でも、「仮面ヒーロー物で、衣装を粗末にするな」という教えは強烈だった。“ヒーロー物は生き物である。なぜなら仮面が主役であるからだ。それを地べたに置くなど持っての他!”という訳だ。  常日頃、仮面に神秘性を感じていた俺は、その教えに思いっきり共鳴していた。事実、衣装をつけ、仮面を被ることで、我々スーツアクターの立ち居振る舞いはヒーローのそれに変わるのだから。  さて、1996年に、東映のビーファイターのハリウッド版、「ビートル・ボーグス」を撮っていた時のこと。人手が足りずに小道具の人間をビーファイターに入れてロングショットを取ったというのだ。これはプロデューサーのボブの判断だった。撮影は一日遅れれば何百万円のオーバーバジェットになる。 それは分かっていたが、それを聞いた俺は、撮影スタッフの前で涙を流して座り込んだ。俺達スーツアクターは嘘偽りなく、命をかけて衣装を着けて演じている。狭い視界。動きにくく暑い衣装。その環境の中で、激しく危険なアクションを連日こなす。ハードな仕事なのに、有名にもなれない。それでもプライドを持って役になりきって演じているのに、それをなんだ!  プロデューサーのボブは、俺達を理解していないと、悔しいやら情けないやらでの涙だったと思う。周りにいたスタッフやスタントマン達は、俺を気づかって、ボブに進言すると言ってくれたが、これは俺の問題と思い、自分で話すことにした。理解されなければ、首も仕方のないこと。そう思って一生懸命ボブに話をした。  「俺はその話を聞いて、とても悲しかったよ・・・」。絶対的権限を持つ大のアメリカ人プロデューサーに歯向かったのだ。するとボブはすまなそうに、「今後はそうしないことにするよ。」と言ってくれた。当時のつたない英語力でボブに全てが伝わったかどうかはわからない。でも自分達がこれだけ一生懸命、仮面の中で頑張っているんだということは理解してくれたようだった。それ以来、ボブのとの本当のコミュニケーションが始ったように思う。  人間はほめてばかりでも仲間に入れない。自己主張もして初めて、相手も認めてくれる。仮面を通じてのアメリカ人との交流だった。 No pain, no gain!

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