アーツアクター出身の人気者、「オースティン・パワーズ」のバーン・トロヤー
ここで、面白い人を紹介したい。日本ではありえない、ミジェット俳優のバーン・トロヤーだ。バーンは小人俳優として、コマーシャルやら、映画やらに出ていたのだが、「オースティン・パワーズ・ゴールドメンバー」のミニ・ミー役のオーディションに受かり、世界一有名なミジェットアクターとなった。米版「仮面ライダー」にファーバスという、小さな犬のようなマスコットがでているのだが、実はそのスーツアクターも彼だったのだ。俺は当時セカンド・ユニットの監督で、着ぐるみ俳優の演技も全て任されていたのだが、バーンの動きには目を見張るものがあった。小さな体と短い手足を軽やかに振りながら、役柄の言わんとする意味を体一杯で表現していた。それになんといっても我慢強い。全身毛むくじゃらの衣装だからかなり熱いのだが、何回リテイクしても、「I’m OK」といって、衣装をとらないで、撮影をスムーズに終わらせようとする。
一度、彼のスケジュールが合わず、他のミジェット俳優にやってもらったのだが動きに面白味がなくて「ああ、こんなに違うんだあ」と、バーンの演技力に改めて気がついた。そんな彼が人気者になったのも、他人を気遣う人柄と演技力が認められたのだと思う。
スタッフの1人が「体が小さくて体力がないのに、あんなに頑張ってたら長生きできないよね」とぽつりと言うと、他のスタッフが「彼は、夢の中で一生懸命生きてるんだから、人生の長さは関係ないよ」と言っていた。気ぐるみを脱いだ時のバーンの額の汗は、伊達じゃなかった。
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